雪の降った日
ひやりとした寒気で目が覚めた。
寝ている間に布団を少し剥がしてしまったらしい。
薄い毛布だけが上半身にかかった状態で眠っていたのでは寒いに決まっている。
「さむい」と頭の片隅でぼんやりと思いながら、布団と毛布を頭まですっぽりと被り、浅い眠りについた。
起床時間になり目を覚ます。
布団から出ると、足が指の先から痛い程冷たくなっていく。
今年は暖冬だと言われ小春日和の続く日々であったが、
突然思い出したかのように冬の心地となったようだ。
吐く息は白かった。
カーテンの隙間から漏れる光が薄暗く、
今日は曇りか雨だろうと思っていたが、雪であった。
どうりで寒いわけだ。
昨日、今季はもう降らないだろうと妹と話していたのだが。
雪の降る程寒い日だと思うと、顔を洗う水がいつもより冷たく感じる。
張り裂ける程冷たい水を顔に当てる。眠気が逃げていく事を願って。
「今日は肉まんの似合う日だなあ」と思いながら雪の積もった道を行く。
あつあつの肉まんをわあっと割ったら噴き出すように白い蒸気がもくもくと上がるのを想像していた。溶岩のように熱い餡がなだれ出るあんまんもよいと思う。
なにしろ寒くて仕方がないので、あたたかい食べ物を考えて心だけでもあたたかくしておきたかった。
日々、変わらぬ業務を成して昼。お弁当の時間。
カリフラワーとキャベツのスープ、催事で購入したライ麦パン、残っていたアヒルのペースト、ぶどうとリンゴ、アポロ味のヨーグルト。
カリフラワーとキャベツのスープは昨日仕込んだものだ。
バターでカリフラワーとみじん切りにしたキャベツ、ハムを炒めてから水とレンズ豆を加えてコトコトと煮、塩と胡椒で軽く味を付けただけの素朴な味。
保温ジャーをお湯で温めてから入れたので、お昼になっても温かいのが嬉しかった。
ライ麦パンは少し塩気が強かったので、個人的にはもうちょっと薄い味であるとよいと思った。
アヒルのペーストは正月に食べきろうと思い購入したのだが、なかなか減らずに今日まで来てしまった。
レバーのもったりとした味わいとオレンジピールの爽やかな香りが楽しめる一品である。いずれこういうレバーペーストも自分で作れるようになるといい。
アポロ味のヨーグルトであるが、イチゴ味のヨーグルトとチョコソースが合わさったもので、美味しいとも不味いとも言い難いものであった。
チョコソースをたっぷり付けて食べると何となくアポロチョコを思い起こすが、思い起こす程にソースをどっぷりと付けて食べると、最後の方には酸味の強いヨーグルトばかりが残ってしまう。
塩梅の難しい食べ物だ。
午後3時頃になると、陽が出てきて暖かくなった。
積もっていた雪もすっかり溶けてしまい、冬の面影は風の中に残っているばかりであった。