生姜焼の幻
お昼、お腹が空く。
あまりの空腹に鼻が生姜焼きの幻を嗅ぎあてる。
思えばしばらく生姜焼きを食べていない。
「食べたいなあ」と思う。
欲が起こると、
甘しょっぱいタレの味わい、
しょうがのピリリとした辛さ、
白いご飯と共に食べた時の幸福感、
が瞬時に連想された。
時計を見ると正午まで10分もの時間がある。
待たせる時間の流れは早いが、
待つ時間の流れは遅い。
生姜焼を想いながらちらちらと時計を見る。
仕事にならない。
卓上にある書類の束なぞ目に入らず、
心の目は生姜焼きを見つめている。
午前の仕事はもう、おしまいにしてしまうことにした。
実は昨日から文章の書き方をあれこれと試している。
しばらくこの実験を続けるつもりなので、
「なーんか変なの!」って思いながら読んでもらえると嬉しいな。
自分でも「これって読みにくいけど、リズムは面白い」とか、
「この文章はドット柄っぽい文章だ」とか考えながら書いている。
実験しながら物を書くのは楽しいので、
皆さんにはちょっとこの道楽に付き合ってもらいたい。