しっかりしてないブログ

しっかりしない、がんばらない

抽象画の言葉

 

 

 

私の職場には面白い言葉選びをするT君がいる。

彼の言葉の選び方は私が決してしないものなので、センスに驚く事が多い。

 

彼は「コピーを取ってください」と言えばいいのに「これと全く同じクローンを作って欲しいんです」と言い。ドット模様のことを「ブツブツ」と言う。

 

子供っぽいと言えば子供っぽいのだが、拙くても感性で話している所が羨ましいと同時に愛おしい。伸び伸びとした言葉遣いは新鮮で、用法としては間違っている事が多いけれど、生き生きしているところがすごく好きなのだ。

 

彼の言葉を聞いていた時にふと、去年隣の席に座っていたOさんの事を思い出した。

彼も面白い言葉遣いをする人であった。

「蛇は好き?」と聞くと「首にかけたい欲はある」と言い、スキーをしに行った話を聞いた時に「全身打撲をした」と表現した。

(全身打撲に関しては本人はピンピンしていたので、たくさん転んだ事を全身打撲という言葉で表現したんだと思う)

 

思いだしても笑ってしまう彼らの表現能力はすごくいいなあって思う。記憶に残って、思い返す度に幸せな気持ちにしてくれる。

 

彼らの言葉遣いを思い出す度に、日常の会話で使う言葉はそこまで正確性は必要ないんじゃないだろうかと考えることが多くなった。

いい加減で、ちょっとぼんやりしてて、「えいっ」と考えなしで放ち、あと5cmで的にあたるという歯がゆさとギリギリ輪郭が分かるぐらいで、ちょうどいいんじゃないかと。

用法とか繋げ方とか正確さとかそんなものはかなぐり捨てて、ポロっと出た言葉の方がその人らしさが出ていて、何度も噛んで味わいたいような深さがあるような気がすると。

 

私はつい色々考えてしまって、写実的に言葉を選ぼうとしてしまうけれど、抽象的にもっとダイナミックに言葉を発した方が話していて面白いのかもしれない。

新しい言葉の描き方を2人から教えてもらって、新しい試みにドキドキしている。

 

ブログでももっと感性的な抽象画のような言葉を連ねる事ができたらいい。

伸び伸びと生きていてキラキラと輝いている言葉を。