ジャム大作戦
業務スーパーで売っているデンマーク産のジャムを好んで買っている。
原材料名に果物名が一番最初に書いてあると果実の味や風味がちゃんと残っている気がして、ついつい購入してしまうのだ。
人間というものは強欲なもので、いくら美味しくても毎回同じものを食べているとだんだん飽きというものが出てくる。
「もうちょっと美味しく食べられないだろうか?」
と思い、ヒントを探しに高級なスーパーへと向かった。
高級なスーパーでは珍しい味のジャムや調味料があり、見ていてワクワクするから好きだ。何に使うかわからない異国のスパイスや味の想像をするのが難しい食品が置いてあり、日常とは違う異世界を感じられる。
ジャム売り場を見ていると、見た事も味わった事もないようなジャムが棚に並んでいる。シャンパン入りのストロベリージャム、ウイスキーを入れたマーマレードを見た時に「これだ!」と思った。
家に帰り、戸棚にあるカシスジャムとマーマレードを取り出し、カシスジャムには白ワインを加えてキール風に、マーマレードにはウイスキーを入れてみた。
カシスリキュールに白ワインを加えたキールというカクテルは好きなので、美味しくなる見込みはついていたが、ウイスキーとマーマレードの組み合わせは初めての試みであったので、少し、ドキドキした。
鍋で少し熱してアルコールと水分を少し飛ばしたジャムをペロリと舐め、あまりの美味しさに思わずにんまりとしてしまう。
カシスジャムは白ワインによってフルーティーな風味が増し、爽やかな甘みに変わり、マーマレードはウイスキー特有の苦みが出て大人っぽい深みのある味わいになっていた。
あーあ、こんな美味しいジャムを今日から毎日食べられるなんて私ってなんて幸せ者なんだろう!
ジャムにお酒を入れるというアイデアが大成功し、「次はマーマレードと赤ワインを合わせてサングリア風、ストロベリージャムにロゼワインかシャンパンを合わせてみよう」等々考えてはまだ体験したことのない味にうっとりしているのである。