好きだけどちょっと怖い
先日、編み終わった編み物の出来がどうも気に入らなくて、全てほどいてしまった。
編み直しているのだけれど、それでもどうしても、気に入らない部分が出てきてしまい、途方に暮れて泣きそうになっている。
編み物歴はそこまで長くなく、うつ状態であった時に何故か休み休みやっていた趣味で、本気でやろうと思ったのはここ数カ月ぐらいである。
そもそも、数か月で綺麗に目も地も揃ったものを作るのは難しい決まっているのに、私はものすごく泣きたくて仕方がなくなってしまうのだ。
自分が持っている熱量と技量とが釣り合ってないから、悔しくて腹立たしい気持ちになっているのである。
この感情は恋に似ている。
憧れの存在に追いつきたくて仕方がなくて、努力して、足掻いて、焦って、追いつかないんじゃないかと不安になり、自らの能力不足に愕然として自信喪失しそうになっている。
「やめたい!こんな事、意味ないのに!なんにもならないのに!」
と喚き散らして、怒り散らして、放り出してしまえばいいのに、それもできない。
ぐずぐずとした気持ちを持ちながら「馬鹿だなあ。本当に、馬鹿だなあ」と独り呟きながら、それでも編んでいるのである。
全てが楽しいという気持ちだけで出来たら、とても素晴らしく、美しい事だと思う。
しかし、本気で打ち込むとそういう甘い感情だけでやっていられず、好きなのに理想通りに行かなかったり、技術不足に悩んだり、自己嫌悪でぐちゃぐちゃになったりするものなんだろう。
私は、一生、完全に諦めてしまうまで、このどうしようもないぐちゃぐちゃな感情を持ちながら、創作、というものをやっていくのだろうと思った。